債務整理を行うと住宅ローンは組むことができなくなるのか?
月々の借入返済が困難になったときは債務整理をすることも考えましょう。 債務整理には4種類があり、借入金の残高や自分の返済能力などに合わせて選ぶことができます。
住宅ローンを借りている人は、債務整理による影響を知っておく必要がでてきます。 また債務整理後に住宅ローンを組む場合は、そのための条件やコツについても確認しておくことが大切です。
今回の記事では債務整理と住宅ローンの関係性について詳しく見ていきます。
債務整理の主な4つの方法
任意整理とは
債務整理を考える場合は、最初に任意整理を検討します。
任意整理とは、債務者と債権者が話し合って、借金の月々の返済額や利息について見直すことです。 未払いの利息や遅延損害金の免除、月々の返済額を減らすことができるので借金の返済がしやすくなります。
また、利息制限法を超えて支払っていた利息がある場合、過払い金請求をすることができます。 債務者の都合で特定の債権者のみ対象にして、任意整理することも可能です。
個人再生とは
個人再生とは、裁判所に申請をして借金の額を20%もしくは100万円のどちらか大きい金額まで債務を減らしてもらい、この金額を返済すると残りの債務を免除してもらえる制度です。 3年間で返済する必要があるため、一定の安定した収入が必要です。
債務整理の中で一番手続きが難しく、費用も高額になります。 ローンのない車や貯金などの財産を手放さずに手続きが可能です。
債権者平等の原則により、すべての債権を整理しなくてはならないので、特定の債務だけ整理できません。 しかし、住宅ローン特則の条件を満たすと、住宅ローンの支払いは続きますが住宅を残すことができます。
自己破産とは
自己破産とは裁判所に申し立てて、税金や養育費など非免責債権以外の借金の免責をしてもらう制度です。 生活に必要な家具や家電、現金99万円以内は手元に残せますが、20万円を超える財産価値のある車、貯金、保険の解約返戻金などは処分しないといけません。 破産手続き中は資格制限を受け、一部の職業は就けなくなります。
自己破産には同時廃止と管財事件の2種類あり、自己破産申立人に何も財産がない場合は同時廃止に、家など財産がある場合は管財事件になり、破産管財人が選任され、財産を現金化して債権者に平等に分配する手続きが取られます。
特定調停とは
特定調停とは、裁判所の調停員が仲裁に入り、債権者と借金の返済方法に話し合いをすることです。
利息制限法の上限の利息で再計算して、借金の総額を計算し3年から5年で返済できるように計画を立てます。 調停が成立すると、未払いの利息や将来の利息が免除になる可能性があります。
自分で手続きをする債務整理のため依頼費用がかかりません。 しかし、債権者が話し合いに応じてくれない場合や債務者に不利な条件で和解する場合があります。 特定調停で和解が成立すると、調停調書が作成されます。
この調停調書は裁判所の書類のため強制執行力があり、滞納するとすぐに強制執行されるおそれがあるので注意が必要です。
住宅ローンの概要とその審査ポイント
住宅ローンとは
住宅ローンとは、住宅を購入するときなどの資金を対象とした貸付金です。 住宅の購入には高額な資金が必要なことから、一般的な貸付金よりも低金利で返済期間も長いのが特徴です。
住宅ローンには銀行ローン、フラット35、財形住宅融資があります。銀行ローンは3種類の金利タイプがあり、主流は固定金利選択型です。 フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供しているもので、最長35年の長期固定金利型というのが特徴です。 様々な民間金融機関で取り扱う住宅ローンで、各々で金利を決められるので均一ではありません。
公的融資の財形住宅融資は低めの金利で5年ごとに変わる変動型です。 勤め先で財形貯蓄している場合など、様々な条件を満たしていれば利用できます。
住宅ローンを組む際の審査ポイント
住宅ローンは基本的に事前審査と本審査があり、事前審査は利用しなくても大丈夫ですが、住宅等の売買契約を結ぶ前にローンが組めるのかが確認できます。
審査で最も重視されるポイントは個人信用情報で、ブラックリストに入っている人は利用できません。 それから返済能力も重要なため、借入時の年齢と完済時の年齢をチェックされます。 完済時の年齢は80歳未満となっていますが、定年後の返済期間が長いと難しいでしょう。
年収の下限は100~200万円で、申込者の属性が良好であれば希望額の貸付が可能とされています。 ただ、銀行ローンの場合正社員でないと難しい傾向にあり、特に歩合制や変動給の職業である場合も同様です。 債務保証人は信用保証会社になってもらうことが多いですが、収入が少ない場合はこの限りではありません。
債務整理をした時の返済中の住宅ローンとは
任意整理した時の住宅ローンへの影響
任意整理は、裁判所を介さない債務整理の方法で、相手方の債権者を任意に選ぶことが出来ます。住宅ローンの債権者を債務整理の対象から外せば、返済中の住宅ローンにはなんの影響もありません。自宅を維持しながら債務額を減らせるのが任意整理のメリットです。他の高金利の債務を整理すれば借金の総額が減り、住宅ローンの返済がラクになる可能性もあります。
住宅ローンを債務整理の対象とする場合は、まず債権者の金融機関に対し返済期間の延長や一部免除などを相談するようにしましょう。 債権者の合意が得られなければ、自己破産や個人再生といった他の債務整理を考慮する必要が出てきます。
個人再生した時の住宅ローンへの影響
個人再生は裁判所に債務の圧縮を申し立てる債務整理の方法で、基本的に全ての債務が対象となります。 基本的に債務整理後の借金を3年で完済できることが条件です。
住宅ローンに関しては「住宅資金特別条項」という特例があり、債務整理の対象から外すことが可能です。 これによって自宅を維持しながら他の債務を減らすことが出来ます。 ただし、返済中の住宅ローンの総額が減るわけではありません。
「住宅資金特別条項」を利用するには、本人が自宅として居住していることや、他に担保が付いていないことなど特定の条件を満たす必要があり、誰でも気軽に利用できるわけではありません。 そもそも個人再生を申請するのにも条件があるため、ややハードルが高めです。
自己破産した時の住宅ローンへの影響
自己破産は裁判所に申し立てることで全ての借金を免除してもらう代わりに、高価な財産は全て没収されるという債務整理の方法です。 20万円を超える自宅や自動車、保険金などは全て取られてしまいます。
返済中の住宅ローンであっても例外ではありません。 住宅ローンの返済は免除されますが、自宅は競売にかけられ処分されることになります。少しでも自宅を高く売ってお金を作るため、自己破産の前に任意売却を薦められることが珍しくありません。
自己破産は借金を全て帳消しにして人生の再スタートを切るチャンスですが、個人信用情報に長く事故記録が残り、その間は住宅ローンを組むことができなくなるため慎重に検討する必要があります。
特定調停した時の住宅ローンへの影響
特定調停は裁判所を介した任意整理とも呼ばれ、債権者を任意で選ぶことが可能です。返済中の住宅ローンの債権者を債務整理の対象から外すことで、自宅を維持しながら債務を減らすことが可能です。
返済中の住宅ローンを特定調停の対象とすると、金融機関の持つ抵当権が発動され自宅を取られてしまう可能性が高くなります。 また債務整理後の返済期間に滞納を起こすと、強制執行が行われます。 強制執行が直接住宅ローンに影響を及ぼすことはありませんが、給与が差し押さえられるため、結果的に住宅ローンの支払いが滞る可能性が出てきます。
債務整理後に住宅ローンは組めない?
債務整理すると住宅ローンは組めなくなる
債務整理のデメリットとして「数年間は住宅ローンを含めた借入やクレジットカードの申し込みができないこと」があります。 これは債務整理を行うと、個人信用情報機関に事故情報として掲載される、いわゆる「ブラックリストに登録される」からです。
新規の借入の申し込みを受けた金融機関は、申込者の個人信用情報を個人信用情報機関に確認します。 個人信用情報機関には個人の借入や返済の状況などが掲載されているので、債務整理の情報があると不適格と判断される可能性が高くなります。
個人信用情報機関から事故情報が削除されれば組める
個人信用情報機関はローンやクレジットカードの申し込みの際に、個人信用情報を登録します。 個人の住所・年齢・生年月日・性別・職業等々、そしてローンの借入や返済状況、債務整理の有無などが情報として登録されています。 金融機関はこれらの情報を調べて、利用者の信用調査を行い判断します。
債務整理を行うと、事故情報として個人信用情報機関に掲載されます。 いわゆるブラックリストに登録される状態となり、住宅ローンが組めなくなります。
しかし、個人信用情報機関から事故情報が削除される、つまり「ブラックリストではなくなる」と住宅ローンやクレジットカードの申し込みも審査が通る可能性が出てきます。事故情報が削除されるには、ある一定期間が必要です。 その期間内に新たな事故情報が登録されないのであれば、期間後ブラックリストから個人情報が削除されます。
住宅ローンが組めるようになる期間
債務整理の種類により、住宅ローンが組めるようになる期間が異なります。 任意整理では約5年間、個人再生では約5~10年、自己破産では約5~10年、そして特定調停では約5年間とされています。
しかし、住宅ローンは金額が大きいこともあり、融資する金融機関は必ず申込者の個人信用情報を信個人用情報機関に確認します。 何度も申し込みを行うとその情報も記録され、金融機関の信用を失うことになります。そのためブラックリストから消滅するまで、住宅ローンの申し込みは避ける方が懸命です。
また各個人信用情報機関により、ブラックリストからの消滅期間が異なる場合もあります。 各個人信用情報機関に情報開示を申し込み、自分の個人信用情報を確認してから申し込むことが大切です。
債務整理後に住宅ローンを組むためのポイント
家族名義で住宅ローンを組む
債務整理を行った方はブラックリスト入りをしてしまい、「過去に金融事故があった人物」として5年〜10年は金融機関の借り入れや住宅ローン組めなくなります。 債務整理後に住宅ローンを組みたい方は、申込み人の名義を家族の方にやってもらう方法があります。
住宅ローンの審査はローンを申し込んだ人の個人信用情報の履歴を調べます。 よって家族が債務整理の経験があっても、申込みした本人が過去に金融事故の経験のないクリーンな人物であれば審査は通りやすくなります。
しかし、債務整理を行った方が住宅ローンの連帯保証人を行う場合、連帯保証人も同様に審査を行うので、その際に過去の債務整理が発覚し、審査が通らなくなる可能性があります。
利息が高い住宅ローンに申し込む
住宅ローンの審査も仮審査を経て本審査があり、厳しい基準となっています。 そのため、債務整理後の事故情報が削除されても信用実績がない場合は、ローンを組んでも返済能力がないとみなされてしまうことが多いです。 それでも住宅ローンを組みたい方は、金利が高く設定された住宅ローンに申し込むという方法があります。
現在の住宅ローンはどこも金利を低く設定しており、利息を高く設定している住宅ローンは、なかなか購入希望者があらわれません。 よって売り手も早く買い手を見つけたいと審査の基準を緩くしている場合があり、債務整理後でも審査が通りやすくなっています。
利息が高いために毎月の支払いは大変になりますが、利息の高いローンを組むのもひとつの手段です。
債務整理していない金融機関の住宅ローンに申し込む
債務整理後に住宅ローンを組む秘訣は、過去に債務整理を行っていない金融機関のローンを利用することです。 過去に債務整理を行った金融機関はその機関を二度と利用できない「社内ブラック」と呼ばれる存在となります。 社内ブラックは共有されるため、その金融機関の関連会社のローンも利用できない可能性もあります。
債務整理後は債務整理を行った金融機関及びその関連会社以外のローンがどれくらいあるか調べて、その住宅ローンに申込むことが必要です。 おすすめの方法は債務整理後に、すぐに債務整理をしていない金融機関に住宅ローンを申込むのではなく、まず銀行口座を新規で作成し利用することです。
余裕があれば少しでもいいのでその口座に貯蓄をしておきましょう。 これによって住宅ローンを申込む際に、審査通過率が上がる可能性もあります。
収入合算やペアローンに申し込む
債務整理の後は、借金の返済が楽になったとはいえ経済的に楽ではない日々です。 それでも住宅ローンを組みたい場合は「ペアローン」、「収入合算」の方法でローンを組む手段があります。
ペアローンとは、夫婦が別々の名義で住宅ローンを組むことで、通常のローンのように申込み人ひとりが返済をするのでなく、夫婦それぞれが返済をする方法です。 収入合算とは、通常の住宅ローンのように申込み人はひとりですが、申込み人ひとりの収入では返済が足りない場合に、配偶者や両親、兄弟などの収入を合わせることで返済金額を増す方法です。
ペアローンも収入合算もひとりではなく複数の収入で返済金額を増すという方法です。ペアローン・収入合算はどちらも債務整理後は審査が厳しいので、債務整理をしていない金融機関のローンが行っているペアローン、収入合算を探すようにしましょう。
まとめ
債務整理を行うとブラックリストに登録されてしまうので、新規で住宅ローンを組むことができなくなります。 ただし、一生組めなくなるわけではなく、一定期間経ち事故情報が削除されれば住宅ローンを組めるようになります。
住宅ローンを組む際は個人信用情報も重要な審査対象ですが、それ以外の収入や健康状態、勤務年数など様々な情報も大切なポイントになります。ですので、事故情報が消えたからといってすぐに組めるようになるわけではありません。ですから、債務整理後は少しでも組みやすくなるように工夫して申し込むことが大切です。
また返済中の住宅ローンがある場合に債務整理をする場合は、行う手続きによって影響は異なります。 任意整理や特定調停、個人再生であれば方法によっては、住宅ローンに影響を出さずに債務を減額することができます。 自己破産を行う場合は住宅ローンも整理しなければいけないので、住宅ローンを返済中の場合は住宅が競売にかけられてしまうので注意しましょう。
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